代表の想い


近年、うつ病という名を身近に聞く機会が増えてきましたが、残念ながらまだまだ誤解や偏見が多いことが事実です。
うつ病は精神障害者を隠そうとする日本の独特な文化的背景と、病として認識しにくいことにより、早期発見が遅れ、症状が悪化してから受診に至るケースが多々あります。

私自身、過去に、排泄行為もままならないほどの植物状態の重度のうつに陥り、周囲の理解を得るまでにとても苦労したため、現在苦しむご本人、そして周囲の方々のお気持ちは痛いほど共感できます。

うつ病は孤独や寂しさに襲われ続けます。
理解し難い行動や発言をしてしまうこともあります。
中には、なんとか日常生活が送れているために病気であることに気付かず、自責や罪悪感に苦しみながら辛い日々を送る方々が沢山います。

うつ病は「心の風邪」という表現を用いることが多々見受けられますが、自身の闘病生活の中でどん底を何度も味わった私は、「心の栄養失調」と表現しています。
栄養失調は、栄養が足りなければ、誰もが確実に陥るものです。
深刻な状態が続くと病となり、終いには命を落とすこともあります。
栄養失調は、誰もが陥る可能性があります。
決して他人事ではありません。

私が目指すところは、うつ病に詳しい専門家ではなく、同じ苦しみや窮地を味わった経験のある仲間として苦しむ方々に寄り添い、相談できるという役割です。
しかし、時には愛のこもった叱りや、ご相談者一人ひとりに合わせた提案やアドバイス、また、ご相談者の手を引いて道案内をすることなどもあるため、「ピアカウンセラー」という立場からはサポートしていません。
本気でご相談者の回復を願うため、全力で向き合うには、「ナルミーランドならではのカウンセラー」として、ご相談者に寄り添う必要性があると強く感じているからです。

ナルミーランドの在籍カウンセラーの強みは、
・カウンセラーそれぞれに様々な心の病を経験し、死にたいくらいのうつ症状を経験したこと
・それらを乗り越え、それぞれに自分らしい生きる指針を見出し、それを実践していること
・自身の再発予防の為、セルフケアを大切にし、自分を愛してあげているということ
そして、なによりの最大の強みは、
うつ症状で苦しむ方々の気持ちに、痛いほど共感でき、ご相談者一人ひとりに合わせた、オーダーメイドのカウンセリングを通して、本気で寄り添うことができること。
あなたの身近な存在であり、経験者だからこそ伝えられる言葉がきっとあるということです。


私は、本気で死にたかった当事者として、死にたいくらいに生きることを頑張っているあなたの絶望的な気持ちを、否定することも、止めることもしません。
最期をどのような形で終わらせることも、ご本人の自由であり立派な権利だと強く感じているからです。
これは自身の闘病生活の経験と、心の病を抱えた友人の自殺を機に強く感じていることです。
死にたいくらいに辛い絶望的な気持ちを、否定も止めもせず、ありのままの気持ちをありのまま受け止める私ですが、自殺する前に一つだけご相談者に約束をしてもらっています。

「死ぬと決めて、もし私の顔が浮かんだら・・・最後に会いに来てほしい」

そのときに、あなたに伝えたいことがきっとたくさんあるから・・・

死にたいと感じている人と本気で向き合うということは、「死」についてもご本人と一緒に全力で責任を持って向き合うことだと感じています。
本気で死にたい人に対し、無責任で中途半端な優しさが、一番辛いことであり、自殺に追い込む可能性が非常に高くなると強く感じているからです。

ご相談者の死にたい気持ちの奥底にある裸の感情に一緒に耳を傾け、心の部屋の声を引き出すお手伝いをすることが、私、そしてナルミーランドカウンセラーの役目。
そして、ナルミーランドという社会復帰支援施設の景色を実現し、利用者の皆さんがくしゃくしゃな笑顔になれる居場所を提供することが、私、そして特定非営利活動法人ナルミーランドの使命だと強く感じています。

心の栄養失調(うつ病)は、周囲の愛情や理解という栄養を十分にもらえないまま過ごすと、自分自身へ向ける愛情だけでは足りなくなってきてしまいます。
そして愛情が足りなくなれば、それを他者へ分け与えられなくもなるのだと思っています。
更にそのことが、自責の念を呼び起こさせ、症状が悪化することもあります。
ですが、ご相談者それぞれに合った、必要な心の栄養を摂取することで心身の状態は少しずつ快方へと向かいます。
いつかふと、昔はああだったなと思い返し、心のアルバムを見返す時がくるかもしれません。
ですが、きっとその頃には、その昔と違った自分でいられるはずです。

いつか・・・
「自分は生きてていい」
「幸せになっていい人間なんだ」と、くしゃくしゃな笑顔で心から思える日が訪れるように・・・


ゆっくりでいい、一歩ずつでいい、半歩ずつでもいい、ちょっとずつでもいい。
そして、もう死にたいくらいに頑張ることを頑張らなくていい。
ありのままのあなたでいい。
だいじょうぶ。



特定非営利活動法人ナルミーランド
理事長 工藤成美